イギリスで見た「自然の力とセルフケア」の現在

今回の渡英で4回目となったイギリスへの旅。
今回の訪問で、
私の中で最も深く心に残ったテーマは、
ハーブや自然療法の本場であるイギリスにおいて、
「自然療法が今、人々の暮らしの中でどのように機能しているのか」という問いでした。

イギリスの公的医療制度は、1948年に創設され、受診時の費用が原則無料という手厚いシステムを持っています。
私たちの暮らす日本も、
非常に整った国民皆保険制度があるため、
少し体調が悪くなるとすぐに病院へ行き、お薬をもらうのが日常となっています。

「調子が悪くなったら、すぐに薬を飲めばいい」
果たして、
本当にそれだけでよいのでしょうか?

 

手厚く無料である反面、現代のイギリスNHSは、数週間から数ヶ月に及ぶ慢性的な「待ち時間の長さ」や人手不足という深刻な課題に直面しています。
日本のように「すぐに専門医に診てもらう」という自由はないそうです。
日常のちょっとした不調を、安易に病院に頼るのではなく、
まずは自分自身の力で手当てしているそうです。
ただ、そのセルフケアの形も、時代とともに大きな変化を見せていました。

以前のイギリス訪問時に一般的な大手の薬局(Bootsなど)の棚にずらりと並んでいた、
個別処方用のホメオパシーレメディやフラワーエッセンスの姿が、今回はかなり減少しているように感じられました。

なぜ?
あんなにたくさんあったレメディがないんです。
しかし、自然療法が廃れてしまったわけではありませんでした。
その代わりに、人々の健康やオーガニックな食に対する意識は劇的に進化していました。
そして何より、ホメオパシーやフラワーエッセンスは「日常使いの製品」として姿を変え
専門店で販売していることを知りました。

 

写真は今回の旅で見つけてきたアイテムたちです。

緑のケースは、イギリスの老舗ホメオパシー薬局Ainsworthsのキットです。
実は私、人間用のキットは以前に購入して愛用しているのですが、
今回は大切なペットの健康をサポートするためのキットを販売していることを知り購入してきました。
このセットには、
42種類のレメディが並べられており、犬用・猫用の丁寧なホメオパシーガイドブック、そしてストレスや不安のための植物療法スプレーPet Friendも付属しています。
帰宅してすぐに愛猫のベッドにシューとひと吹きしました。
「ごめんね、長い間留守にして、、、、」
効果があったかどうかは不明ですが、すぐに私の下に来て安心した様子でなでられていました。

 

このほかにも、日常を支えるたくさんのアイテムを持ち帰りました。

  • Nelsonsの筋肉や打撲をケアするためのアーニケアやトラウミールの使いやすいジェル

  • Heliosの、乾燥肌や傷ついた皮膚を優しく癒やすオーガニックなカレンデュラクリーム

  • Bachのレスキュープラスなど、仕事中や旅行中の緊張を和らげるための、ビタミンB群が配合されたオレンジ&エルダーフラワー味のあめロゼンジ

これらはもはや専門的な医療の道具ではなく、現代の忙しい人々が「今日の疲れや緊張を、自分で心地よく調律するためのお守り」として愛用できます。

さらに、ハーブ専門のホメオパシー薬局の店内を覗くと、プロフェッショナルであるホメオパスに、自分の心身の状態を熱心に相談し、自分だけの最適な処方を求めている人々の姿を何度も見かけました。

代替医療が、日常のファーストフード的なセルフケアと、
専門家による個別化された丁寧なアプローチの両輪で機能している。
まさに「自分の心と体の声に耳を傾け、植物の力でバランスを整える」という実践を目にすることができました

また、今回は「チェスター大聖堂のジン(Cathedral Gin)」もお土産に持ち帰りました。
ジンの起源は13世紀頃に修道士や錬金術師たちがジュニパーベリーを蒸留して作った「薬用酒(メディカル・リカー)」にあります。
中世のペスト医師たちは防護マスクのくちばしにジュニパーを詰め、その強力な殺菌・抗ウイルス作用で身を守ったとされています。
さらに、
熱帯の植民地ではマラリア予防のキニーネの強い苦味を消すために、このジンとトニックウォーターを混ぜて飲んだことから、あの「ジントニック」が生まれました。

蒸留という技術が、古くは修道院の中で「大切な人の命を救うための医学」として誕生し、
それが現代の私たちの手元にあるアロマテラピーや、
蒸留へと脈々と受け継がれていきます。

 

病院や処方薬に依存しすぎる前に、まずは自分の手のひらにある植物のしずくで、自分と大切な人の体調を優しく整えていくこと。

この美しくたくましい知恵を、帰国した今、日本の皆様にさらに情熱を持ってお届けしたいと強く願っています。

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